入会の動機

T・N 

 3月に広島の盲学校を卒業しましたが、在学中常々感じていたことは、自分の中に核になる治療法がないことでした。有名な治療院を見学させていただいたり、単発の研修会に参加しても、ばらばらの知識が増えるばかりで、自分の力になっているような実感が得られず、そのため、卒業後は何か一つの治療法について集中して体系的に学びたいという思いを抱いていました。4月からは筑波大学理療科教員養成施設への進学し、盲学校理療科の教員を目指しますが、自分の核になる治療法が必要であることは、開業した治療家であっても、教員であっても同様であると考えます。東洋はり医学会に興味を持ったのは、3年間のカリキュラムが確立されているという点と、少人数制による技術指導が受けられるという点です。このため、盲学校を卒業したばかりで臨床経験のない私であっても、体系的に学びたいという望みがかなえられると考えました。
 また、経絡治療を学ぶことによって、症状のある局所のみしか治療対象としてこなかった私の治療方法の幅を広げたいという思いもあります。これまでは、治療を行ってもしばらくすると症状が再燃して、また治療を行って、ということの繰り返しでいつまでたっても核心にたどり着かないような感覚がありました。その点で経絡治療は、証を立て病の本質を追求することから、患者さんを全人的な視点で捉え、本当の意味で治すということが可能なのではないかと感じ、自分の治療の核にしたいと考えました。
 東京で学業に集中できるこの期間に、貴学会で先生方から学ばせていただき、他の学会員の皆様と意見を交換し悩みを共有することで知識・技術を高め、将来教員として還元していくことができたらと思います。