会員の皆様へ「法人化にあたって」 会長 中田光亮 

ただいま東洋はり医学会は任意団体から法人化に向けて準備を進めています。
当会を法人化するにあたり、3月の総会には会員の皆さんの了承を得られるようにと願っております。
総会に先立ち、法人化する意味と、法人化した後に何がどう変わるのかなど、ここに全会員の皆様へ向けてご説明させていただく次第でございます。

1 法人化する意義
当会はまもなく創立60周年を迎えようとしています。会員数も全国と海外に及び、およそ1000人を超える組織になりました。鍼灸界においてもトップクラスの規模の学術団体といって良いでしょう。
当会の会員はもちろん、日本の鍼灸師の地位の向上と、患者様から信頼をいただくためにも、法人化する必要性を認識しております。
法人になるという事は、公の団体になる、という事です。国から認められた組織となり、任意団体と比較して信頼性が一段と上がります。それ故、社会的責任も増え、襟を正していく必要があります。それは理事会のみならず、当会の会員一人一人にも言えることです。
法人となり、鍼灸界や患者様に対しての信用を重ね、社会的責任を担い、公の器となることを自覚していかなければなりません。そして公の器の名にふさわしい団体となり、会員個人となる必要があることをご認識ください。

2 名称について
正式名称は「一般社団法人 東洋はり医学会」となります。
法律上の種類で言えば「非営利の理事会設置一般社団法人」となります。

3 組織について
法人化するにあたり、会長、副会長が発起人となり、法務局に正式に登録されます。
役職名はこれまでどおり会長、副会長、会務の部長という名称で呼びますが、法律上では会長は代表理事、副会長は業務執行理事、会務の部長職は理事という名称になります。これは呼び方の問題ですので、あまり大きな変化はありません。
法律ではこれら理事の他に、理事会の目付役の「監事」という役職が新しく加わります。理事が不正を働いていないか、監督し、調査する権利と、理事会に報告する義務を持っている役職です。
さらに、今後は税金をきちんと支払う事とし、顧問税理士にも加わっていただきます。

4 会員と、その登録に関して
会員の名称は法律上では決裁権のある会員は「社員」と呼ばれます。これは給与が支払われるような一般的に言われる会社員という意味ではなく、法人を組織するメンバーのことを指す言葉です。給与をもらって働く職員は「従業員」と呼ばれますが、当会ではそれに該当するものはまだいません。決裁権のない会員はこれまで通り「会員」と呼ばれます。(「社員」も「会員」であり、決裁権のある会員は「社員」と呼び名が変わるということです。)決裁権のある会員は本部会員になります。支部会員、会友は「社員」ではなく「会員」となります。

これまで、本部会員、支部会員、会友でも、総会に参加すれば、全員に決裁権がありました。しかし法人化しますと、それはできなくなります。なぜなら、法人の決裁とは決裁権のある「社員」の数の二分の一とか三分の一などというように法律で数の割合が決められているからです。

「参加した人の二分の一とか三分の一」という規則は法律では認められていないので、決裁権を持つものの数を明確にする必要があるということです。

毎年3月に行われる総会も正式には「社員総会」となります。これも呼び方の問題ですので、あまり大きな変化はありません。
任意団体としての「東洋はり医学会」は一度解散となります。そして新しく法人として「一般社団法人東洋はり医学会」が設立されます。

設立時点では、数名の正副会長が発起人なので、書類上では発起人の数だけの会員しかいないことになります。次に、会員の皆さんに、法人化した後の新しい東洋はり医学会の社員(会員)になることの表明をいただく必要があります。その方法は、全会員に対し、社員に表明するための案内状を郵送しますので、それを記入して返送してください。表明書を受理した時点で一般社団法人東洋はり医学会の会員となります。
総会で法人化を承認していただき次第に皆様に案内状をお送りいたしますので、必ず返送してください。

5 理事会に関して
今後は会長と副会長が業務執行理事として、当会の経営全体を俯瞰した「全体的な」運営に注力していきます。
会務の部長は理事として理事会に参加し、各部の運営とほかの部との連携を保ち、会員に向けて各部の、より「専門性」の高い運営を行なっていきます。これに理事と理事会の監視役の監事が加わり、以上の人員が理事会のメンバーとなって運営していきます。
理事会の議事録は引き続きホームページで公表し、ガラス張りの理事会を心がけて参ります。

6 会計に関して
これまでは銀行口座も個人名でしか設けることができませんでしたので、会費の振込先が個人名でした。今後は法人名の口座を開くことになります。
任意団体としては、会計に関しては国に対して報告の義務はありませんでしたが、今後は税務申告も必要になり、私服を肥やすような勝手なお金の使い方は許されません。もちろんそれは今までも許されることではないのですが、法律的には強制力はありませんから、好き勝手し放題にしようとすればできる状態でした。

実際アンケートにもご批判がありましたように、広報部が長年別会計で、使途不明金も多く、理事会を通さずに独自のルールで自由に金を使っていたという事実があります。これらは会員から預かった貴重なお金ですから、認めることができないお金は全て広報部から返還していただく手はずを現在取っています。今後法人化するにあたり、会計は一本化し、このようなことがないよう、監事と顧問税理士が厳しくチェックいたします。

7 会費に関して
非営利法人になると、お金を稼いではいけないというイメージがあると思いますが、そのようなことはありません。お金目的の団体ではない、ということは今までもその通りであり、これまで皆手弁当でやって参りました。利益は出しても良いのですが、その利益を「分配」してはならないというのが非営利法人のルールとなります。もちろん、今後も今までのように講習会などで働いていただいた方への報酬や手当はお支払いいたします。
普通の民間の会社のような営利法人はたくさん稼いで、稼いだお金を経営者や社員にボーナスや特別手当などで分配します。それは自由です。しかし、非営利法人はそれは認められていません。その代わり税金が優遇されています。会費から税金は取られませんし、機関誌もこれまでは千円で販売していましたが、今後は会員には配布するということになります。それに伴い、会費も若干変更いたします。実質の値上げはしないようにしながら、利益が出た分は会員に対するサービスの質を上げていく方向で考えています。
本部会員、支部会員、会友のあり方や考え方ももう一度見直して、何がベストな方法なのかを現在思案中です。

8 会則に関して
法人化した場合に、法人として法律で定めなければならない事項が新たに発生してきます。会則も定款という呼び名に変わり、より社会に向けてコンプライアンスを遵守する団体であることを目指して行きます。
これまで使用してきました会則を基本としながら、不十分なところは補い、抽象的な部分はよりわかりやすい定款を作成する所存です。

9 会務に関して
会務は以下の8つの部署になります。
・事務局…内外のあらゆる窓口、調整役
・総務部…会の質を高めるための総合的な企画運営全般、ブランド管理、法務、他
・会計部…会の予算、会計・財務管理、顧問税理士との折衝
・学術指導部…指導カリキュラムの編成、技術指導、指導者の育成
・広報部…社会への当会の広報活動、新入会員勧誘、会員への情報提供(これまでの広報部と内容は違います)
・記録部…講習の音声・写真・動画の記録、管理
・出版部…機関誌の編集・制作、出版物の販売管理
・国際部…海外支部との折衝、管理
それぞれの長が理事となり、理事会に参加します。
これまでは副部長も理事でしたが、今後は副部長は理事ではなく、理事会にも参加しません。

以上、法人化に際しての概要をご説明させていただきました。この他、不安なことや、わからないことなどありましたら、遠慮なくホームページのご意見フォームよりお寄せください。全員に丁寧にお返事させていただきます。

今まで縦割り行政のように、うまく各部が連動していない部分もあったかもしれません。当会の運営も「これまでそうしてきたんだから」といって、新しいこともあまり行って来なかった部分も確かにあります。

今後は会員の皆さんの意見もお聞きして、守るべき伝統は守り、変えるべきところは変え、新しいことも果敢に行っていく所存です。皆さんのご意見やアイデアをお寄せください。

新しい組織で、新しいことをどんどん行っていき、脉診流経絡治療を日本中に、世界中に広げていきたい、そう我々は願っております。
そのためにも、法人化は必ず通る必要がある道だと思っております。
どうぞ皆様、総会では法人化に対してご理解とご承認をいただけますよう、お願い申し上げます。

東洋はり医学会  会長 中田光亮