新たなる春(樹齢三百年の枝垂桜に想う)

この三百年の桜と同じ歴史が日本の管鍼法にもあります。

桜のニュースが多くなってきました。画像はテレビでも中継される六義園のシダレ桜です。春の訪れと共に、新年度を迎える気運を感じております。

この六義園は五代将軍綱吉公の側用人、柳沢吉保が1695年に賜った土地に造らせた庭園で、元禄期の日本庭園の様式がみてとれます。
この桜を綱吉公のご息女の鶴姫様も愛でられたと立て札にありました。324年を経た今年も多くの人が訪れるでしょう。

その綱吉公の御殿医の一人となったのが杉山和一検校(すぎやまわいち けんぎょう)です。
若い頃の病から盲人となるも、目が見えなくとも鍼を刺せる管鍼法を発案した杉山検校は、将軍を治療した褒美から両国は一ツ目の地に

杉山流鍼治導引稽古所

を開くことを許されます。
ヨーロッパに盲学校できる100年程前、世界史上初の盲人のための学術施設が江戸時代前半に開設されていることは、あまり知られておりません。
今は両国の江島杉山神社となっているこの地に、杉山和一記念館が出来たのは2016年のことでした。

そして今年、その記念館を拠点に東洋はり医学会の新支部

両国杉山支部

が3月24日に設立されました。首都圏でちょうど十ヶ所目の支部になります。記念館に併設されている杉山鍼按治療所のスタッフが中心となり、とても実践的な支部になりそうです。
300年以上引き継がれた鍼灸の技を伝えて行く場所が増えたことを、杉山検校もきっと喜んでくださっていると思います。(安場)

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