鋭い聴覚への理解

ピン芸人のお笑い賞レース大会、R1グランプリ、今年は粗品さんのM-1とのW受賞でした。

先日放送された番組の中で昨年の優勝者の盲目の漫談家、濱田祐太郎さんは敗者復活枠のMCを担当され番組を盛り上げられていました。濱田さんは我々と同じ三療師の資格を持っておられ、芸人になるための資金はマッサージ等の仕事で貯めたそうです。
昨年チャンピオンとなられた後は色々なテレビに出られて、盲目の方ならではのエピソードを話されています。例えば「タレントの鈴木奈々さんは結婚後、小倉優子さんはバツ1になってから声がかわいく変化されて、それから僕はファンになりました」と言われてました。しかし他の出演者には変化に気付かず、それが解るのは凄いなァと関心されていました。
後日、当の本人の小倉優子さんとは共演されますが、小倉さん自身も変化に気付いておられませんでした。もちろん筆者も気付けませんけれど、それに気付ける耳をお持ちなのだろうと思います。

 

東洋はり医学会におりますと視覚障害の方の様々な感覚、中でも鋭敏な聴覚には驚かされます。
以前ある政治家が鬼籍に入った時に盲の方と話をしていたら
「あの議員さん、ちょっと前から声が変に引っ掛かっていたから大丈夫かなーと思っていた。」
と指摘されていました。もちろんそれは、晴眼の会員には変化が分からないか、あるいは言われて初めて気付くレベルの変化です。いかに盲の方が聴覚を大事にされているかを思わされます。
濱田祐太郎さんの活躍で、こうしたことの理解が深まって欲しいのですけれど、なかなかに難しいようです。

 

先月、名古屋のクラシックのコンサートで全盲の女性が購入した会場後列中央の席ではなく、最後列の端の席にさせられたことで訴訟になっていることがニュースになりました。
主宰者側は雨のため濡れた通路での転倒を心配し、女性には説明して納得の上で最後列の端席に行ったとの事。ただ、女性は手を引いてくれれば中央の席まで行けると話をし、納得はせずコンサート中も本来の席への移動を希望したとなってました。
ネットで見付けた記事を読みながら、女性は納得をしてないし、これからもしないだろうなぁ…と思いました。
私事ですが、昨年はあるバンドのコンサートに三回行きました。それぞれ二階端の椅子席、最後尾の端の立ち見席、二階中央の椅子席と座りましたが、やはり音響が一番良かったのは最後の中央の椅子席でした。
晴眼の者ですら、違いが分かるのですから視覚障害者の方はなおさらでしょう。本来が中央の席であるのに、最後列の端の席でと言われて同意することありえないと思います。
最近はテレビやラジオでパラリンピック競技の紹介が多くなりました。例えば、ブラインド・サッカーの競技を取り上げた短編アニメでは選手の聴覚の鋭さを表現した内容になっています。
こうした盲の方の鋭敏な聴覚が周知・理解されて、名古屋のニュースの様なことが起こらないようになって欲しいものです。(安場)

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です